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​事例紹介

WORKS

基本データ

施工年|

2022

所在地|

香川県高松市

用途|

店舗

延床面積|

453㎡

構造/規模|

木造・平屋建て

協力|

基本計画:空間構想、ランドスケープデザイン:EAU、基本設計・実施設計:松繁 舞、施工:藤木工務店 家具デザイン:桜製作所、照明デザイン:喜多俊之、瓦葺き:大栄窯業、照明漆器:川口屋漆器店、照明和紙:ひだか和紙、照明器具リメイク:屋島店装、改修前イラスト:素描家shunshun

古民家に宿る用の美を受け継ぐ

改修にあたり、これまでに何度も手を加えられつつも、大切にされてきた建物の価値を見出すことからはじまった。運用上どうしても増えてしまっていた店内の注意書きや案内などの掲示物をすべて取り外し、空間の中で本当に必要なものが何なのかを探ることを第一とし、その上で、改修に際し「やってはならないこと」を定め、素朴な暮らしから生まれた茅葺き古民家の本質的な価値を今後も継承できうるか?という判断基準を設けた上で各種の改修計画を立てていった。

 
左:わら家改修の変遷  右:わら家を訪れた人々が何に価値を感じていたのかの調査

大庇について

瀬戸内沿岸には「四方蓋葺」という、茅葺きの大屋根の周囲を瓦屋根の庇で囲った形式の建物が多くある。江戸末期から明治ごろに表れた形式で、草屋根ですべてを覆っていた民家の発展形式である。瓦の庇で周囲を覆うことで、屋根勾配の緩い内外の緩衝域をつくることができ、内部をより広くするとともに、光を取り入れることができるようになるという工夫がつまった民家形式である。

左:軒先の低い形状の草屋根葺き  右:軒先を瓦にし、室内を広く光を取り入れる四方蓋葺き


今回の計画では、この四方蓋葺の成立過程を現代的に解釈し援用した。北向きに新たに出入口を設けるため、勾配の緩い大庇によるバッファゾーンをつくり、その大庇が人を招き入れるとともに、うどん店の行列に並ぶ人々を日照りや風雨から守る役割を担う。構造体は古民家本体への負荷をかけないように独立した鉄骨造とし、古民家とは構造的に縁を切りながら地震時の挙動の違いが吸収できるスリットを設けている。古民家本体の構造補強は様々な理由から叶わなかったが、万が一の際に鉄骨庇が出入口部分の開口形状をとどめ、避難の助けになることをねらった。大庇の天井は先端に向かって折り上げることで、外部の光が入り込やすくするとともに、エントランスから続き下っていく地面と呼応する形で、自然と軒下に入り込みやすくなるように意図している。

左:大庇の鉄骨フレーム  右:大庇と主屋のとりあい部


大庇の低い天井の形状は、半間ほど建物内部にも延長させ、内部にも天井の低い部分を設けることで天井の高い茅葺き小屋裏へのシーンの転換を生み、建物の内部空間の広がりを印象づけられる効果をねらった。天井裏の素材は、人の手に触れうる箇所であることや、天井に反射して入ってくる光を自然な揺らぎとするため浮造り仕上げの杉板とした。庇の屋根仕上げは特殊な形状の淡路瓦の瓦葺きとし、瓦と茅という、かつての農村風景の中で日常的に見られた素材の組み合わせを引き継いだ。

左:内観の天井高低差  右:入店待ちの行列の人々を風雨から守る


左:うずくり仕上げの天井 右:屋根面 茅と瓦の組み合わせ

内部空間

オリジナルの和田邦坊によるインテリアの痕跡を残すため、大きな傘形状の照明のリメイクを施した。この照明も江戸時代の「八間照明」と呼ばれる、和紙を貼った笠の下に吊った皿の中に油を敷いて火を灯し、その明かりが笠に反射して、周囲を照らす照明器具に似た形状のものであった。この器具を空間の中心に据えなおし、笠の反射部分には土佐和紙を張り、光源の器となる部分を讃岐漆器で新たにデザインした。四国の材料や技術で、民家の素朴な用の美を再現させることを目指した。また、一般客席のペンダント照明はデザイナーの喜多俊之氏に、この空間に合うように長さを調整したオリジナルをデザイン頂いた。

左:土佐和紙・讃岐漆器による照明器具のリメイク  右:喜多俊之氏による一般客席の照明デザイン


家具については、創業時から桜製作所が担っており、既存の丸太テーブルはオープン当初の屋外席のベンチとして使われていた時からの転用で、店舗の歴史を表す大切な要素であった。今回のリメイクでも、長年使い続けられた天板の風合いはそのままに、これまでの形の継承を第一とした。リメイクとしては、大人数で名物のたらいうどんを囲めるよう、丸太2つ合わせで1つのテーブルとなる配置換えをし、テーブル面の高さを現代人の体形にあわせて少し高くした程度である。そのうえで、隣席を気にすることなく安心して食べられるような、適度な高さの衝立を設けた。また、店舗の奥に団体客を受け入れる小あがりとテーブルの個室をそれぞれ新たに設け、様々な利用シーンに対応できるようにした。

丸太テーブルの再配置と衝立の設置 奥に個室席を新設

店内サイン、うどんメニュー表、卓上のとっくりの注ぎ方の説明書きなどの制作物も担当し、建築物のコンセプトと一貫したものとできるように取り組んだ。また、改修前に多くの人に親しまれてきた水車小屋が今回の改修ではなくなったが、水車の本体の展示と当時の風景を素描家shunshun氏に描いて頂き、長年愛されてきたこれまでの歴史を新たな時代も引き継いでいけるように努めた。

左:とっくりの注ぎ方を示す卓上掲示 右:水車がまわっていた頃の風景画の掲示

最低限の介入にとどめ、建物の価値をいかに引き出すかを模索する取り組みであったが、結果的にわら家の歴史を掘り起こし、これまで建物を守ってきた様々な人の貴重な縁を受け取るプロジェクトとなった。

このプロジェクトで実現したこと

・古民家に独立した大庇を増築し、歴史を引き継ぎながら新たな時代に向けてリニューアルする
・これまで関わった人々の業績を掘り起こしながら、店舗デザインの調和を図る
・運営手法の変化・ユニバーサルデザイン対応など、時代の変化に適応した内装の実現

わら家改修計画

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わら家改修計画

プロジェクト概要

四国村のエントランス部分のリニューアルに伴う、うどん店「わら家」の改修計画。
四国中から古民家を収集・移築し、屋外展示をしている四国村ミウゼアム。このエントランス部分のリニューアルにあたり、古民家を移築してうどん店舗としている部分の改修担当をした。今回の改修は、駐車場により分断されてしまっているうどん店と四国村との関係を新たな地形の操作によってつなぎ合わせ、エントランスの空間としての一体的な価値を引き出す取り組みであった。わら家のまわりの擁壁を取り除き、周囲をなだらかな斜面に変えるとともに、エントランス建物に向かって入口の向きを変え、そこに大きな庇を設ける全体構想のもと、その具体的な解決策を検討していった。

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